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映画『レスラー』を観る

レスラー (字幕版)

 

人生を勝者として生き続けることはできない。誰しもに必ず負ける瞬間がおとずれる。

 

原因はさまざまだ。

 

年令による衰えという抗いきれないもの。才能の枯渇。地区予選レベルでは負けなしだったのが全国レベルでは通用しない。理想の場所だと思って目指したところがくだらないところだった…。

 

勝者だったころにためていたツケが敗者になったとたん、ワッと襲ってくる。いろいろなものをないがしろにしていたことに気がつき、修復しようと試みるが手遅れであることもしばしばだ。

 

それでも人生は続いていく。

俳優の人生と重ねて

http://www.flickr.com/photos/27791418@N00/8047457689

photo by Mr.850

主演をしているのはミッキー・ロークだ。若いころは二枚目の俳優として活躍していた。プロボクサーだったこともあり身体は引き締まった筋肉におおわれていた。

 

女。金。名声。

 

ミッキー・ロークはその全てを手に入れていたハズ。

 

そんな彼にも俳優としての人気に翳りがでてくる。整形手術にも失敗し、身体若いころのような引き締まりをみせなくなっている。

 

主人公のランディ・ラムはかつてスターレスラーで何万人もの観衆のまえで華麗な技を披露していた。必殺技は『ラム・ジャム』だ。リングコーナーによじ登り、両ひじを突き立ててリングで寝ている相手に向かって飛び込んでいく。盛大な歓声…。

 

二十年後のランディはスーパーでアルバイトをしながら家賃を滞納気味の苦しい生活をしており、土日に行っているプロレスの興行にも数十人程度の客が集まるばかり。

 

この役をかつて大スターだったミッキー・ロークが演じている。

再び脚光を浴びる

『レスラー』はヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。主演のミッキー・ロークはゴールデングローブ主演男優賞を受賞した。彼は再び脚光を浴びることになる。

 

一度脚光を浴びて没落した人間が再びはいあがってこれたケースはほとんどみかけたことがない。素朴に感動してしまう。実際、この映画のミッキー・ロークの演技は素晴らしい。実人生の裏付けがあるからこそできた演技なのだと思う。

映画のラスト

http://www.flickr.com/photos/10567940@N05/3288675755

photo by afevrier

ランディはいろいろなことがうまくいかず、結局自分の居場所はリングの上だけなのだと悟る。既に一度、心臓発作を起こしており、医者からは止められていたが、彼は再びリングに立ち、観衆の声援に応えて必殺技『ラム・ジャム』をきめようとする…。

 

ちなみに個人的な感動ポイントが一つあって、それは最後のエンディングロールで流れている曲を歌っているのがブルース・スプリングティーンだということ。何十年ものあいだ、ロックの最前線で活躍し続けた彼がこう歌う。

 

安らげるものを俺は遠ざける

この安息の地には留まれない

信じられるのはこの砕けた骨とアザ

自由を求めてもがく片脚の男がいたら それが俺

身におぼえがある人も多いだろう。何かの折に観ていただきたい映画である。