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学校に行きたくない君に言っておきたいことがある

school

 学校っていう場所はあまり好きになれなくて、一応大学までいってなんとか卒業したんですけど、もうこういう窮屈な場所はいいなって思ったのもつかの間、社会人がはじまったら学校生活どころじゃない、もっと強烈に管理されてる感覚が強くなって、とくにぼくが就職したときに最初に配属された部署が組織のなかでもかなりかたい部署だったので、ほとんどノイローゼ状態になってました。

 

 いまでも覚えてるんですけど、休みの日に太陽がしずみ始めるとものすごい不安におそわれて、とても部屋とかでゆっくり過ごせる状態ではなかったので、ひたすらパチンコ屋で時間をつぶしていました。おかげで、あれだけ残業して残業代をもらっていたにもかかわらず、貯金はほとんどできませんでした。

 

 日本の公教育では人間は組織のなかで生きていくことが大前提になっています。だから、朝から晩まで自分の意思を殺して誰かの言うことをきいたり、どこかに拘束されたりっていうことに小さい頃から慣らされるんですね。

 

 そういうものにフィットするひとはいいですよ。与えられた環境や社会の慣習や伝統を素直に受け入れて、それがどれほど不合理で非合理的なものであったとしても、「昔からこうやってるから」っていう理由でそれを実践しつづけ、後世にも強要できるひとは。

 

 別にぼくはこういうものを否定するつもりはなくて、こういったことで成り立つ社会とか組織っていうのはたしかに存在するし、それはそれでいいと思います。しかし、人間というものは多様であり、こういった伝統主義による拘束が生理的に耐えられないっていう人が確かに存在して、そういった人たちを社会的に受容する場所がいまの日本にはあまりにも少ないんじゃないかってことなんです、問題は。

 

 組織や集団のなかで生きていくことだけがすべてではない。

 

 学校の先生たちから教えられたのは組織や集団のなかで生きていくために必要な術やふるまいかたで、それらはときとして暴力を伴いながら教えられるものでした。冗談ではなくて、恐怖と暴力による統治が行われていて、それで社会科の授業では自由とか民主主義とかそういった思想を教えているのですから、いまから考えると相当奇怪な現象が起きていたんだなと。自分が何を教えているのか、自分が何をやっているのかきちんと理解していた先生には出会わなかったと思いますし、こうやって当時の彼らと同じくらいの年齢に差しかかっているいま、かなり冷静に当時のことを思い返してみても許しがたいものを感じます。

 

 太平洋戦争が終わってから七〇年以上が経ちますが、戦中、戦後を経て現在までの日本を概観してみると、日本を戦争に導いた要素は戦争が終わったからといってなくなるものではなかったし、いまの日本にそのまま引き継がれているのではないか。戦争を起こした原因が軍の一部の人間による暴走というかたちで描かれることもありますが、実際にはマスコミが戦争を煽ったし、熱狂して興奮した国民に後押しされた部分もあった。

 

 戦争に協力しない人間、非協力的な態度をとる人間を「非国民」といってなじり、村八分にする態度は戦争が終わってなくなるどころか、いまの日本にもそのまま引き継がれていて、ありとあらゆる同調圧力が社会のなかに存在します。

 

 いま学校に通っていて、こういったよく分からない、いろいろなものに押しつぶされそうになっているひとがいると思います。ぼく自身、当時のことを振り返って言えることは「適当にやり過ごしながら、自分ができることを地道にやるしかない」ってことになるでしょうか。

 

 人間は慣れることと慣れないことがあって、こういった日本社会に存在する同調圧力に耐えがたいという人間がそれに慣れるってことはほぼないだろうと思います。自分のことを考えてもそう思うし、周りの人間をみてもそう思う。

 

 であれば、そういった自分の気質は、これはもうどうしようもないものとして認めてあげて、そうはいっても自分の環境を変化させられるほどのお金も力もないでしょうから、これはもう仕方のないものとして、三年間なら三年間、ごまかしながらで構いませんから通学するといいと思います。

 

 そして、自分の好奇心とか興味っていうものを大切にして、少しずつで構わないので、そういったことについて調べたり、勉強したりして自分の人生を生きるために必要と思われる能力や知識を身につけていく。

 

 もちろん、こういったものは即効性があるものではないので、二十歳前後で自分の意思に沿うような人生を送ることはなかなか難しいのかなって思いますが、それでも、十年くらい続けていると自分なりにみえてくるものとか獲得できるものがあると思うので、それまではなんとか辛抱して生き続けて欲しいなって思います。